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『ゴールデンゴールド』1巻感想 フクノカミに似た異形によって徐々に日常が壊れていく

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ゴールデンゴールド』1巻感想。時間が止まった世界を描いた『刻々』の堀尾省太先生の新作でモーニング・ツー連載作品。刻々は独特な作風でしたが、この新作ゴールデンゴールドも独特な作風となっており、フクノカミのような異形の生物の出現によって人々が徐々におかしくなっていくという漫画です。

あらすじ・内容

江戸時代ごろとおぼしき時代に剣客が砂浜で不気味な生物たちを次々に殺めていくシーンで始まる。それは耳たぶがとても大きく細目の不気味な顔をしたフクノカミのような異形のもの達。

それから時は過ぎ現代へと話は移り、離島・寧島に住む主人公の少女・早坂琉花が意中の男子である及川とアニメイトへと買い物に。その帰り際の船の中で彼女は彼から高校は大阪の学校に通うことを告げられショックを受ける。 島に戻ると琉花のお婆さんが営む民宿に宿泊に来た作家の黒蓮とその編集者に海岸を案内する琉花。

海岸でミイラのように干からびた福の神のような置物を発見する琉花。彼女はそれをなぜか家に持ち帰ってしまう。 その後置物をお社に祀ってこの島にアニメイトが出来るようお願いをしたらその置物は不気味な生き物へと変わっていた。

追いかけてくるそのフクノカミから逃げるように家に帰った琉花でしたが、そこにはさっきの異形のものが宿泊客としてお婆さんに扱われており絶句。
祖母にとっては普通の人にしか見えないようだが、黒蓮たちははっきりと得体の知れないものと認識。どうやら島で生まれ育ったものに対してはおかしなものとは認識されず、島外出身の人間だけが異形のものとわかるらしく(琉花は内地の学校で馴染めず祖母のもとへ来た)。 それは家に住み着いてしまい徐々に祖母の様子もおかしくなっていく。

あらすじはこんな感じ。まだまだ話はこれからと思われるがどう展開していくのかは予想がつかない。

フクノカミ

琉花が海岸で見つけた置物。福の神をかたどったものでミイラのように日干からびて海岸にあった。めっちゃぬるぬるしているらしく洗剤でゴシゴシ洗ったら左腕がとれてしまう。翌日祠にそれを置き手を合わせて願いごとをする琉花。願いが終わって立ち上がるとそこには置物が大きくなったような異形のものが。

この異形のものに驚いた琉花は逃げますがそいつはペタペタと追いかけてき、彼女の乗る自転車の前籠に乗っかる。そして海に突き落として逃げ帰る。これは悪い夢だったんだと自分に言い聞かせて。

しかし琉花が帰宅し入って行くとそこには海に落としたはずのあいつが家に上がり込んでおり驚愕する(なんとも異様な光景で)。 宿泊客の黒蓮と編集者はこの状況に戸惑った様子で、お婆さんの目には普通の人間のように映っていると話してくれます。お婆さんはそいつに対して違和感を全く感じておらず宿泊客だと信じ込んでいる様子。

このフクノカミですが特別な力があるらしく、家にいついてから急に民宿への予約がジャンジャン入り出す。黒蓮が止まりに来るまでは10年くらい客がないという状況だったというのに。早坂商店の方の客入りもよくなりなんと棚にあった商品がすべて売り切れてしまう。
またこのフクノカミは島の人達にはただの小さいおっさんに見えるらしく、島の人々は全く怪しむ素振りもなくすんなりと受け入れている。それがおかしいと感じるのは島の外から来た人間だけ。琉花も福山での学校生活に馴染めずこっちに移ってきた事情があるので島育ちではない。

早坂琉花

琉花は福山の学校では馴染むことができず不登校になってしまった事情からお婆さんがいる離島に転校してきた。彼女は人の感情を敏感に感じ取ることができそれ故に前の学校では孤立、嫌われていた。 黒蓮と初めて会った時も島の人間に対して閉鎖的であると馬鹿にするような先入観を抱いていたことが彼女には感じられ、黒蓮が島の人達と話をしてそれがなくなってからは素直に接している。同級生の男の子・及川が好きなのだが、彼が大阪に帰ることが決まって落ち込む。それがあってフクノカミにお願いをすることにになる。

黒蓮先生

寧島には「都会しか知らない女が閉鎖的な田舎に嫁いで悪戦苦闘」する新作を書くため取材で訪れた小説家の黒蓮先生。琉花の家に宿泊する。 田舎を閉鎖的と思っていたら全然そんなこともなくフレンドリーだったことから「人間力の圧倒的敗北」と落ち込んだり、パチスロで有り金を全部使い果たしたりと表情豊かで面白いキャラクター。彼女の存在であまり暗い話になってないように感じられる。

終わりに

最初はコミカルなタッチもあり琉花の家が商売繁盛でハッピーになる展開?と思ってたらそんなこともなく、終盤でのちょっと怖いシーンによりこれからどんなことが起こっていくのか予想もつかないです。 徐々に日常が壊れていく不気味な感じが恐ろしく続きがすごく気になる作品です。